最近、「ヘミングウェイで学ぶ英文法」という本を読んだのですが、洋書をちゃんと理解するうえで学校で習う文法が非常に役に立つということが分かる、ということが分かりやすく書かれている本でした。
これが非常に面白かったので、それに乗っかってELLEGARDENの歌詞で英文法の要素に着目して紹介してみようと思います!
英語の歌詞も、やはり文法事項が分かれば意味が理解できて楽しい!と思ってもらえたらと思います!
ELLEGARDENの「Supernova」の歌詞と和訳の文法解説!
ELLEGARDENは、楽曲の良さはもちろんですが、英語がうまいことでも有名ですよね。
英語ネイティブのYouTuberなどのレビューでも、ELLEGARDENのボーカルの細美さんの英語はうまいと言っている人が多いようです。
発音だけでなく歌詞自体もアメリカ感が出ていて非常に良いですよね。
今回はそんなELLEGARDENから、「Supernova」という曲の歌詞を題材にしてみます!
(「Pepperoni Quattro」というアルバムの1曲目に収録されています)
それでは本題ですが、歌詞の順に部分ごとに「原文と和訳」→「文法解説」を繰り返す流れでご紹介します。
(以下、枠内の太字は引用)
歌:ELLEGARDEN
作詞:細美武士
※説明がある部分には、歌詞の各行の後ろに、対応する説明番号をつけています。
1番Aメロ部分
My war is over
僕の戦争は終わった
No ressurrection
復活なんて無い
I guess I was scared of being that happy ①②
あんなに幸せでいることが怖かったんだろうな
She's a supernova I was reaching out for ③
彼女は僕がつかみ取ろうとしていた超新星なんだ
I heard her footsteps fading away from me ④
彼女の足音が僕から遠ざかっていくのが聞こえた
解説
ポイント①
"I guess ~" という表現はよく使います。直訳すると「私は予想する」ですが、実際には「~だろう」ぐらいの感じですね。
アメリカではこの歌詞のようにthinkの弱いバージョンとして頻繁に使われます。
ポイント②
"that happy" のthatは副詞用法といって、「あんなに」とか「あのぐらい」というような意味になります。
happyが形容詞なので、その程度をthatで表して修飾しているということになります。
このthatの使い方は日常会話では毎日のように出てくるのですが、なぜか学校ではあまり習わないというのが個人的には謎です。
(たまたまこれについて別記事で解説を書いていたので詳しくはそちらもどうぞ。)
ポイント③
"She's a supernova I was reaching out for" は、supernovaとI wasの間に関係代名詞のthatが省略されていることになりますね。
そうすると、I was reaching out forがsupernovaを修飾する形が分かります。
ポイント④
"I heard her footsteps fading" は「まさに文法!」という感じのポイントですが、いわゆる「第5文型」の「SVOC」と言われるやつですね。
「hear + O + C」で、「OがCであることが聞こえる」という形になります。
hearの代わりにfeelなども入りますね。「知覚動詞」と言われるものです。
第5文型では、OCの関係が「OがCである」というように主語述語の関係になっていることがポイントで、Cの部分には、今回のような現在分詞だけでなく、過去分詞が入る場合もあります。
また、今回のように知覚動詞の場合は、原形不定詞が入ることもあります。
サビ部分
No matter how hard I can try ⑤どんなに頑張って挑戦したって
I never think that I can fly
空が飛べるなんて全く思えない
And now she has just turned her back to me ⑥
そして彼女は僕に背を向けてしまった
There is nothing I can do as well
僕にできることもない
But to dream her all the time ⑦
できるとしたらいつも彼女の夢を見ることだけだ
I'm a fuckup and I'm nuts so she's gone
僕はつまらないクソ野郎だ だから彼女は行ってしまった
解説
ポイント⑤
こちらは超頻出文法ですね。
No matter how + SVで、「どのように~しても」という意味になります。
今回は更に、howに副詞のhardが付いていて、直訳すると「どんなに一生懸命に~しても」となっていますね。
howの他にも、例えばno matter what SVなら「何をSがVしても」というように、「no matter 疑問詞 + SV」で色々と表現できます。
ポイント⑥
ここで着目したいのが、she has just turnedというように現在完了を使っているところです。
現在完了は、その名の通り現在の状況に視点を置いた表現で、今回の場合は「彼女が背を向けてしまって、今も自分はその影響を受けている」というニュアンスが出せます。
これが過去形だと、「あの時彼女は僕に背を向けた(けど今はもう吹っ切れている)」という雰囲気になってしまいますね。
ELLEGARDENの歌詞を色々見ていると、完了形をしっかり効果的に使っているのが本物の英語っぽさを感じる理由の一つなのかなと思います。
ポイント⑦
ここでのポイントは、There is nothing but to doの形が使われているということです。
(歌詞の都合上Butの最初が大文字ですが、英文的に考えると2行がつながっていると考えられそうです。歌詞はコンマやピリオドがないので、文の繋がりが決めにくいというのはありますね…)
このbutは、例外を表すbutで、直訳すると「何もない。例外は〇〇だ。」というような感じなのですが、それを意訳すると、よく習う英語表現としての「nothing but ~」=「only」という感じで理解できますね
2番Aメロ部分
My clumsy dancing on my tiptoe
僕のつま先立ちのヘタクソなダンス
She said she liked it and I thought she's lying ⑧
彼女はそれが好きだって言ってくれたけど僕はそれは嘘だと思ってた
Now I know she said that not to cheer me
今は分かったよ 彼女が僕を励ますために言ってたわけじゃないって
But now it's too late
でももう遅いんだ
Fading away from me
僕から遠ざかっていく
解説
ポイント⑧
こちらも非常に重要なポイント「時制の一致」が起こっていますね。
She said she liked it.
彼女はそれが好きだと言った
なので、日本語なら「好きだ」と現在形になっていますが、英語では動詞のsaidと同じ時のことを表す動詞は、saidに合わせて過去形になりますので、likedとなっています。
ちなみに、本来はこの後の部分でも同様に時制の一致を受けて、
I thought she was lying
となるのが文法的には正しいように思います。
ブリッジ(?)部分
Many things I left unsaid ⑨
言えてないままになってることがたくさんあるよ
A thousand miles away you're sleeping
1000マイルも離れたところで君は眠っている
Sometimes I can be a guy you wanted me to be
時々君の理想の男になることができるんだ
But only in my dreams
でもそれは僕の夢の中でだけだよ
解説
ポイント⑨
ここは2通り考えられる非常に面白い部分です。
I left many things unsaid. のSVOCで、
直訳すると「私は多くのことを、言われてないままにしておいた」という文になりますが、この部分はこれを倒置させてOSVCにしているという考え方ができます。
そしてもう一つの考え方として、
Many thingsを関係詞節「that I left (Oが抜けている) unsaid」で修飾しているとも考えられます。
もちろんこの場合は、名詞のカタマリだけになって文としては成立しませんが、これは詩なのでそれもあり得るかなと思います。
個人的には前者のほうがいい感じですね。
※なお、この後はサビがリピートされるので割愛します。
歌詞でもかなり重要な文法事項が学べる!
もちろん歌詞は一種の詩なので、文法的に説明できない部分もあるのですが、ELLEGARDENの歌詞は日本人の英語歌詞としてはかなりしっかりしていて、基礎的な英文法事項やアメリカっぽい表現を結構含んでいるので、文法を学ぶきっかけになればと思います!
「英文法」というと、難しい長文とかを想像するかもしれませんが、まずはこのように好きな歌手の歌詞などを「文法を使えばちゃんと理解できる!」ということを是非実感してもらえたらと思います!
「Marry Me」の記事はこちら!
希望の曲などがありましたらコメントでどうぞ!